結論: 受入れが数名規模のうちは登録支援機関への全部委託、10名前後を超えて通訳体制を社内に持てるなら内製(自社支援)の検討余地が出てきます。 内製はコスト削減の手段に見えますが、実際は「体制要件を満たせるか」「担当者の工数を確保し続けられるか」という運用の問題です。
この記事の要点
- 全部委託なら支援体制の基準を満たすとみなされる(最初の受入れに向く)
- 内製には受入れ実績・相談業務経験や言語対応などの体制要件がある
- 工数の目安は1名あたり月2〜6時間+入国直後の集中対応
- 損益分岐は単純な人数比較でなく、通訳確保と固定負担を含めて判断する
- 一部委託は「自社が体制要件を満たしている」ことが前提
比較表: 内製 vs 委託
| 観点 | 自社支援(内製) | 登録支援機関へ委託 |
|---|---|---|
| 体制要件 | 自社で満たす必要あり(実績・経験・言語) | 全部委託で基準を満たすとみなされる |
| 月額コスト | 委託費ゼロ+社内工数・通訳費 | 1名あたり月2万〜4万円程度 |
| 初期負担 | マニュアル・様式整備、担当者教育 | 少ない(機関のノウハウを利用) |
| 柔軟性 | 自社文化に合わせた支援設計が可能 | 機関の標準プロセスに依存 |
| リスク | 支援不履行が自社の指導・改善命令に直結 | 委託先の質に依存(選定が重要) |
| 行政対応 | 届出・報告を自社で実施 | 多くを委託先がサポート |
内製の体制要件は何ですか?
自社支援を行うには、おおむね次の基準を満たす必要があります。
- 支援責任者・支援担当者の選任(役員・職員から。一定の中立性要件あり)
- 受入れ実績または相談業務の経験: 過去2年以内に中長期在留者(就労資格)の受入れ実績がある、または相談業務に従事した経験のある役職員がいること等
- 外国人が十分に理解できる言語での支援体制: 通訳の社内確保または外部手配
- 支援の中立性・記録の保存などの運用基準
※基準の詳細・例外は出入国在留管理庁の運用要領で必ず確認してください。初めての外国人雇用で実績要件を満たせない企業は、実務上は全部委託の一択になることが多いです。
工数とコストをどう見積もりますか?
内製の工数
支援対象1名あたりの継続工数は月2〜6時間程度が目安です(四半期ごとの定期面談・面談記録、相談対応、各種届出の準備など)。これに加えて、
- 入国直後: 事前ガイダンス、空港送迎、住居・口座・役所手続の同行などで1名あたり20〜40時間程度の集中負荷
- 四半期ごとの定期届出、年次の更新申請サポート
損益分岐の考え方(単純化した例)
- 委託時: 月3万円 × N名
- 内製時: (月4時間 × 2,500円) × N名 + 通訳・ツール等の実費 + 体制維持の固定負担
単純計算では1名あたり月1万円+固定費となり数名から内製が有利に見えますが、通訳の確保(希少言語ほど高い)・担当者の退職リスク・行政対応の習熟を加味すると、実務では10名前後からが現実的な検討ラインといわれます。
自社条件での比較は受入コストシミュレーター(無料)で「委託」「内製」を切り替えて試算できます。
どんな企業が内製に向いていますか?
- 支援対象が10名以上で、今後も増える計画がある
- 対象人材の母国語を話せる社員(または安定した通訳手段)がいる
- 過去に就労系在留資格の受入れ実績があり、体制要件を満たせる
- 人事・総務に支援業務の主担当を置ける
逆に、初受入れ・少人数・繁忙の波が大きい企業は、まず全部委託で開始し、ノウハウが溜まってから内製化を検討する段階的アプローチが安全です。
ハイブリッド(一部委託)の注意点
「面談は自社、書類と通訳だけ委託」のような一部委託も可能ですが、この場合自社が支援体制の基準を満たしていることが前提です(全部委託のみなし規定が使えないため)。一部委託を選ぶ場合は、責任分界点(どの支援をどちらが実施・記録するか)を契約書で明確にしてください。
まとめ
- 初受入れ〜数名規模は全部委託が現実的。委託先は一覧ページで比較を
- 10名前後を超え、通訳体制と担当者を確保できるなら内製の検討余地が出てきます
- 委託費の妥当性チェックは支援委託費の内訳と適正価格を参考にしてください